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4話 募る想いと、夏の日のゲーム大会

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-09-01 16:32:10

♢悠真の部屋と賑やかなゲーム大会

 うだるような夏の暑さが続く、夏期講習が始まる前のとある午後。悠真の部屋には、クーラーの涼しい風が心地よく吹き抜け、キンキンに冷えた麦茶の入ったグラスが汗をかいていた。部屋の中央には、ゲーム機が接続された大きなモニターが鎮座し、その周りには、花城まどかと、結城凛音、そして煌が、思い思いの格好でくつろいでいた。ひよりは、まだ来ていない。

「おっしゃー!俺のターン!」

 煌が、コントローラーを握りしめ、画面に向かって叫んだ。その隣で、まどかがニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべている。

「はいはい、コウちゃんはいつもそればっかりだよねぇ。でも、私には勝てないんだな、これが!」

 まどかの挑発的な言葉に、煌がカチンとくる。

「んだと!今日こそはぜってぇ勝ってやるからな!」

 二人の小気味良いやり取りに、悠真は思わず笑みがこぼれた。彼は自分のベッドに座り、皆の様子を眺めている。凛音は、端の方で静かに自分の携帯ゲーム機を操作していたが、時折、チラリと悠真たちの方に視線を向け、わずかに口元を緩めているのが見えた。彼女も、この賑やかな雰囲気を楽しんでいるようだった。

 ゲームが始まると、部屋の中は一気に熱を帯びた。煌とまどかの間で、激しい攻防が繰り広げられる。まどかの指が、コントローラーの上を蝶のように舞い、煌は唸り声を上げながら必死で食らいついていた。二人の声が、悠真の部屋に響き渡る。

「くっそー!まどか、お前、いつの間にこんなにうまくなったんだよ!」

「ふっふっふーん、努力の賜物ってやつ?コウちゃんこそ、もっと練習しなきゃダメじゃん?」

 煽り合う二人の姿は、見ていて飽きない。悠真は、そんな彼らを見ているだけで、心が温かくなるのを感じた。普段はクールな凛音も、まどかと煌のやり取りには、わずかながら興味を示しているようだった。

 しばらくして、玄関のチャイムが軽やかに鳴った。

「あ、ひよりだ!」

 まどかが、弾んだ声で立ち上がった。悠真の心臓が、ドクンと大きく跳ねる。ひよりが来る。その事実だけで、彼の全身に、熱い電流が走るような感覚に陥った。部屋の中の空気が、一瞬にして、甘く、そして緊張を帯びたものへと変わる。

 まどかが玄関へ向かい、すぐにひよりを連れて部屋に戻ってきた。ひよりは、白いワンピースに身を包み、夏の陽光を浴びて、まるで天使のように輝いて見えた。彼女の甘い香りが、部屋の中にふわりと広がる。

「みんな、ごめんね、遅くなっちゃって……」

 ひよりが、少しはにかんだように微笑んだ。その笑顔を見た瞬間、悠真の心臓は、さらに激しいリズムを刻み始めた。彼の視線は、ひよりの白い首筋や、ワンピースの裾から覗くスラリとした足へと吸い寄せられていく。煌や、まどかたちと談笑しているひよりの姿を、悠真はただ、じっと見つめることしかできなかった。彼の股間は、既に熱を帯び始めていた。

♢まどかの高鳴る胸と新たな感情

 ひよりが部屋に入り、皆と合流した後も、まどかは時折、悠真の様子を窺っていた。彼は、ひよりが来る前から落ち着かない様子で、ひよりが現れると、その視線は完全に彼女に釘付けになっている。まどかは、そんな悠真の分かりやすい反応を見て、内心でため息をついた。

(悠真は本当にひよりちゃん一筋なんだから……)

 まどかと悠真は、小学生からの幼馴染だ。お互いの家を行き来し、一緒にゲームをしたり、他愛のない話をして笑い合ったり。まどかは、悠真の隣にいることが、ごく自然で当たり前のことだと思っていた。彼の少し不器用な優しさも、真面目すぎる性格も、全部ひっくるめて、まどかは「悠真はそういうやつだ」と深く考えることもなく受け入れてきた。

 だが、最近、少しずつその感覚が変わり始めていた。きっかけは、ほんの些細なことだった。

 数週間前、まどかは悠真の家で、二人きりで夏休みの課題に取り組んでいた。難しい問題にぶつかり、頭を抱えていると、悠真が隣からそっとシャーペンを差し出してきた。

「ここ、多分こうすれば解けるぞ」

 彼の声は、いつも通り穏やかで、特別甘いわけでもなかった。しかし、その時、まどかの手が、悠真の指に触れた。彼の指は、少しだけごつごつしていて、それでいて温かかった。その温もりが、まどかの手のひらにじんわりと広がり、心臓がトクン、と普段とは違う音を立てたのを、まどかははっきりと覚えている。

 その瞬間、まどかの脳裏に、今まで意識していなかった悠真の顔が、突然、くっきりと浮かび上がった。真剣な眼差し、時折見せる困ったような笑顔、そして、意外と広い肩幅。今まで「幼馴染」というフィルターを通して見ていたものが、一瞬にして「男の子」として認識されたかのようだった。彼の腕や首筋から漂う、ほんのりとした石鹸の香りが、なぜかその日以来、妙に意識されるようになった。

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